腕組みが解けるまで

土屋 GET DOWN のブログです。私の日常を綴ります。あとは音楽と本のことを少々。

凍りのくじら/辻村深月

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ドラえもんは、

二次元にて生まれ、

四次元から秘密を引き出し、

三次元へ光を放つ。

その光に照らされた芦沢理帆子は、

生を正面に見据え、歩み始める。

のび太も理帆子も、斯くいう私も、

少し不思議な物語で、

喜怒哀楽を多分に育んできた。

光は今も次元を超え続けている。 

 

Late Night Tales - # 9

 

 

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アルケミスト/パウロ・コエーリョ

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対話、その行為を心に向けたことはあるか。

成立は実に難しい。

だが心に耳を傾け、

対話を実現させられれば、

心は夢へと導いてくれる。

錬金術師――夢を心に抱き、

金を、万物の理に見出す。

その心は世界とさえ対話をする。

夢は自身に内在し、世界と共に叶える。

 

Late Night Tales - # 8

 

 

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秒速5センチメートル/新海誠

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距離や時間が、恋を愛に育むのは稀である。

距離に身を焦がし、時間に慰めを求める。

人は記憶し、忘れる能力が具わった生物だ。

だが全てを忘れはできず、記憶は断片化する。

春に舞い落ちる秒速5センチメートルは、

距離と時間から生じた、愛の、断片か。

 

Late Night Tales - # 7

 

 

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夜のミッキーマウス/谷川俊太郎

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夜。

遥か上空。

宙から落ちたとして、

時間を自由に操れたとして、

恐怖に色彩を奪われず、

それでも、やはり、落ちている事実が変わらないとしたら、

私はおもいっきり大気と交悦する。

ああ、それを見たミッキーマウスが、

腹を抱えて笑ってくれると、いい。

 

Late Night Tales - # 6

 

 

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ジョゼと虎と魚たち/田辺聖子

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死を見据えた者は得られる幸福を、悲観し避けるか、達観し享受する。

ジョゼは明らかに後者だ。

下半身不随にして、孤独に苛まれた先に見た境地。

ジョゼにとっての恒夫は、宝くじのアタリ程度なのかもしれない。

ジョゼは、死に活きている。

 

Late Night Tales - # 5

 

 

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アウグスツス/ヘルマン・ヘッセ

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人は、疑い疑われ、共感を模索し、

愛し愛される過程を以って、処世を知る。

先天に賦与された愛の才能は、

厭世をもたらし、忌み嫌われるが、

万物に幸福を見出す能力により、補完された。

どういう仮定であれ、人の幸福は内面に育つ。

これを忘れてはいけない。

 

Late Night Tales - # 4

 

 

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張り込みはあんぱん片手

 昨夜は七時間ほどのロングDJだった。気がつけば明け方近くになっていたが、時間を忘れるほど居心地のいい夜になった。

 始発で帰り、家に着くなり布団になだれ込む。昼過ぎまで泥のように眠った。 

 目が覚めると、腹が鳴った。いそいそと近所のスーパーに出かける。

 突然だが、私は大の餡子好きである。加えてパンも好物だ。

 故にあんぱんをこよなく愛している。

 そんなわけでスーパーに着くなり、かの和洋折衷の奇跡を手にするべく、パンコーナーに向かった。

 すると、とあるポップが目に入った。

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 いま一つ分からない。どの層を狙ったのだろうか。もしや何かのドラマの決め台詞か。ともなれば、テレビを見ない私には乗りようも突っ込みようもない。すべては憶測の話だが。

 けれども、あんぱんは最後の一つを残すところであったわけで、このポップは相応の効果があるわけだ。

「張り込みはあんぱん片手」

 私は心に刻むようにして呟いた。何かしらの神性を持った、力のある言葉なのかもしれない。そう思った上での呟きだ。

 隣にいたおばさんの私を憐れんだ眼は生涯忘れない。

 冷や汗を拭いつつも、あんぱんと安堵を手にした私は、そのままレジに向かい、帰途に着く。

 帰り道、電信柱の陰や空き家の窓が気になって仕方なかった。

 張り込みがいるかもしれない――そう思えてならないのだ。

 家に着く既のところで、ふと〝牛乳〟を思い出した。

「ああ、牛乳!」

 思わず声に出す。どうして気付かなかったのだろう。

 張り込みといえば、あんぱん。あんぱんといえば、牛乳。

 私は激しい後悔の念に苛まれた。

 もしかしたら、牛乳コーナーにもポップがあり、

「あなたは分かっていらっしゃる」

 こう書かれていたかもしれない。そうなると私も「ではひとつ、張り込みでも」とその気になってしまう。ひょっとすると、あんぱんと牛乳を手にした時点で、機密警察から張り込みの勧誘があったのかもしれない。ではあれはテストか。そうか、隣にいたおばさんが向けた眼は憐れみではなく、憧れ! これはいよいよハンチング帽とコートが必要となる。新聞も必需品だろう。そういえば、そもそもの張り込みの動機が必要だ。いや、これは機密警察から任務があたえられるだろう。動機は金では買えんからな。はっ、これがもしや噂の、プライスレスか。

 この辺りで正気に戻る。

 私はなんとなしに空を仰ぎ、くるり踵を返してスーパーに戻った。

 牛乳コーナーには〝特売〟と書かれていた。

 

 明日は何を書こう。